マーブル色のパルース

「好き」が加速する瞬間を留めたい Twitter:@miri_s1028

「変わらないこと」が放つ2次元の煌めき

 

 一番始めに投稿した自己紹介にて、私は元々3次元のヲタクであることに触れたが、私はいわゆるアイドルヲタクをやっている。こちらの世界に来てからも、彼ら・彼女たちの応援は続けている。

2次元のキャラクターたちを好きになり程なくしてひしひしと感じたのは、彼らの魅力は「永遠に変わらないこと」が放っているのではないか、ということだった。今回は、自分が3次元ヲタであることを踏まえて感じた2次元にしかない独特の魅力について、その優劣は抜きにして個人的な考えを書いてみようと思う。私自身がこちらの世界に足を踏み入れて間もないため「2次元」への解釈がおかしな点もあるかと思うが、その点はどうかご容赦願いたい。

 

 

  • 「変わっていく」3次元、「変わらない」2次元

 私自身はアイドルヲタク(=ドルヲタ)であるため、あくまで2次元の「キャラクター」と3次元の中でも「アイドル」との比較を前提に話をさせてもらうが、「アイドル」を応援する上で欠かせないキーワードは「成長」である。女性アイドルも男性アイドルも、日々技術的にも精神的にも進化し、それと同時に年を重ねていく「入った頃は歌もダンスもヘタだった○○ちゃん・○○くんが、一年経った今ではこんなに上手くなって...」という「変化」をドルヲタは感慨深く語り、その「成長」を見守りながら応援する=「推す」。しかし長く推しているとそうした「成長」が嬉しい一方で、年を重ねていくことで失われていくものを感じ急に虚しくなったりもする。こうした傾向は男性アイドルよりも女性アイドルに顕著に見られるが、その最たるものは「若さ」である。アイドルを応援する立場からすると、「若さ」から放たれる無邪気さ、素直さ、ひたむきさ、フレッシュさは、ある一時にしか見られない貴重なものである。もちろん「若さ」だけがアイドルの魅力ではない。先に話したようにアイドルを応援する上でのキーワードは「成長」であるため、ファンは昨日より今日、今日より明日と大きくなっていく彼ら・彼女たちを見守ることに幸せを感じ、そして時が経つにつれて放たれる「若さ」からは生み出せない魅力も見出していく。しかし昨今のアイドル戦国時代の中で、「若さ」から放たれる魅力だけを永遠に追い求め、グループの新メンバーや新しいグループに次々と「推し変」していく、いわゆる「新しいもの好きの人たち」はドルヲタの中に一定数存在するのもまた事実である。

しかし、2次元の「キャラクター」にはこうした「成長」がほとんど存在しないと言っていい。年を重ねないことの代表格はサザエさんのカツオ・ワカメ・タラオ、ドラえもんのび太たちだろう。もちろん最近はアイドルをテーマにした作品も2次元に多く存在するため、その中で3次元のアイドルのように「成長」し歳を重ねるパターンもある(例:うた☆プリ)が、例えば私がある3次元のアイドルグループを結成当初から10年ほど応援してきたのと同じくらいの時間の変化を辿る作品はほぼないはずである。もっと大きな括りで言えば、2次元のキャラクターは多少の年齢の変化はあっても、「若いまま」「幼いまま」で当たり前のように止まっている。そう、2次元に存在する「キャラクター」の彼女たち・彼らの「若さ」、もっと言えば「Identity(アイデンティティー)」は「永遠」なのである

元々2次元の世界でヲタクをやってきた方々にとってみればそんなことは当たり前で、特に意識することはないのかもしれない。しかし、冒頭でも述べたように、私はこの「永遠性」こそが、2次元のキャラクターにしか放てない「煌めき」に繋がっていると思う。何年何十年経ってもそのキャラクターが放つ変わらない魅力を永遠に楽しめるということは、その「好き」の気持ちを持った自分もなかなか変わらないということではないだろうか。もちろん作品を追っていると作風が変わったり突然そのキャラクターが消えたりすることはあるだろうが、2次元にしか存在しないキャラクターであるからこそ、自分が好きなその「キャラクター像」は自分の中に残り続けるし、どんな変化でも現実世界に起こっている「変化」ではないため、個々の解釈に対する最終的な正解は存在しない。こうした視点から生まれるのが「二次創作」なのではないかと私は考えているが、ともかく2次元のキャラクターは「変わらない」からこそ煌めいている。いつも無邪気な発言でファンを魅了するキャラクターが徐々に成長してそれを失っていったりしない、怪我やスキャンダルでアイドルを卒業したりしない。2次元のキャラクターはファンを「裏切らない」、「失う不安」をファンに抱かせることもない2次元の世界ではそこに存在するほとんどが、作品の中で、ファンの心の中で永遠に輝き続けている。

 

  • 「変わらない」からこそ2次元の世界は新規に寛容なんじゃないか説を提唱したい

 私はこの世界につい最近足を踏み入れた。そこでまず感じたのは、「この世界の方々は新規に寛容なのでは?」ということだった。3次元のヲタクをやっていると度々「新規叩き」の意見を目にすることがある。もちろんごく一部の方の意見だが、「昔」を知らないことは、そのヲタ界のファンが持つ「一体感(=応援する気持ち)の欠如」であるかのような決めつけをするファンがいるのは事実である(例:「グループの○○時代を知らないなんてファンとしてあり得ない」など)。斯く言う私も3次元アイドルヲタとして「新規」ははっきり言って苦手である。叩くつもりは一切ないが、特に10年近く応援しているアイドルグループにおいては、売れなかった時代を知らないファンの人たちとはどうしても同じ「熱量」で応援できないと思ってしまうのだ。ここで着目したいのが、こうした古参と新規の溝は、彼ら・彼女たちの「成長」、わかりやすく言えば「明確な過去」があるからこそ生まれるという点である。

一方2次元の特徴は何度も言うように「永遠性」である。「キャラクター」の「過去」が全くないわけではないが(例:幼い頃の回想シーンなど)、基本的に2次元の作品においては「キャラクター(のIdentity)」の「今」が「永遠」に描かれている先ほど「何年何十年経ってもそのキャラクターが放つ変わらない魅力を永遠に楽しめる」と述べたが、時が経ってもファンが感じるキャラクターの魅力は概ね同じであると考えられる。「過去」を踏まえた「現在」がないからこそ、いつファンになっても「同じ魅力」をファン同士で「共有」でき「共感」し合うことができ、その結果古参と新規の溝がわかりやすくは生まれないのではないだろうか。もちろんシリーズものの作品では時系列で物語が進んでいくため、その内容を知らないと作品やキャラクターの魅力についていけなくなることもあるだろう。しかし2次元の最大の特徴は、それをゲームや漫画、小説などによって誰もが自分自身の「リアルタイム」でそれを体感できるという点である3次元だとこうはいかない。例えばコンサートなどの彼らを実際見ることができる機会は多くあるが、リアルタイムでそれを体感できるのは「そのとき」だけである。後から映像でそれを振り返ることはできても、「時の流れ」は現実世界と同じであるため、「過去」から「現在」に至るまでを同じように体感することは不可能である。例えば、10年分のコンサートの映像を一日で観ることが可能になってしまうのだ。「新規」に対する考えは人によって様々だと思うが、「永遠性」に加えて「各々のリアルタイム体験」によって、2次元の世界は「新規」を毛嫌いする必要性が限りなく少ない環境が構築されていると私は考える。

 

  • 2.5次元というジャンルでも失われない「永遠性」、一方2次元と3次元の「壁」に起こりそうな「革命」

 若干話が逸れるが、2次元から派生した2.5次元というジャンルが存在することは、この世界でヲタクをやっている方であれば誰もが知っているだろう。このジャンルの起源はテニスの王子様のミュージカルなのだろうか、作品のキャラクターたちを実際に俳優さんが演じてその世界観を表現したり、声優さんがキャラソンを歌い、はたまたダンスまで本格的に行いコンサートを行うことも最近では当たり前のようだ。私はそうしたイベントにまだ本格的に参戦していないが、2次元にしか存在していなかった世界が目の前に現れる感覚、きっと言葉では言い表せない感動があるのだと思う。しかし自分の目の前=3次元でどんなにリアルにその世界観が存在しているとしても、あくまでそれは「2次元」のままであり、作品そのものから逸脱することはない。「2.5次元」という表現は秀逸だと思っているが、そういう意味では「2.1次元」くらいな気もしてくる。

ところでまた少し話が変わるが、2次元と3次元はどんなに時が流れてもはっきり言って決して交われない世界同士であると私は思っている。人気のアニメや漫画が実写化する際に必ず起こる反対論がそのわかりやすい例である。2.5次元が私の感覚としては「2.1次元」であることを踏まえると、ますます2次元と3次元の間にある「壁」は誰にも崩せないのだと感じる。こうした現象の発生は先ほどから述べているような「永遠性」の有無にも起因しているのだろうと思うが、「壁」の頑丈さや「世界関係なくみんな仲良くしよう」的な話は一旦脇に置いて、最近この「壁」にひびが入っているんじゃないかと感じることがあったので最後にその話をさせていただく。

アイドルマスターシンデレラガールズ音ゲー、「アイドルマスターシンデレラガールズ・スターライトステージ」、通称「デレステ」のCMキャラクターをSMAPの中居くんが務めたことを知っている人は多いのではないだろうか。また、最近では「あんさんぶるスターズ!」、通称「あんスタ」のCMキャラクターをあの叶姉妹が務めている。見たことがないという方はぜひ動画を検索してみてほしい。今回は私が実際にプレイをしている「デレステ」のCMについて話すが、2次元のアイドルのCMを3次元のアイドルが宣伝するという斬新さにまず驚かされた。しかも最初に放映されたCMの最後に出てくる言葉が、「アイドルはやめられない!」。2次元のアイドルの「永遠性」を3次元のアイドルが語っているのである。ジャニーズに代表される男性アイドルは女性アイドルに比べて遥かに寿命が長い。その先駆け的存在はSMAPなのだが、彼らは3次元のアイドルであるため「長い時間」の中を駆け抜けてきた存在である。しかし何十年も活躍し続けている彼らを見ていると、3次元のアイドルにも「永遠性」があるかのように思ってしまう。もっと言うとアイマスの「とどけ!アイドル」という曲の歌詞に「夢をのせて 時空超えて とどけ!アイドル」という言葉が出てくる。CMの制作陣がこのCMにどこまで深い意味を込めたのかはわからないが、このCMによって、2次元と3次元の双方のヲタが一部繋がったような話も小耳に挟んだ。2016年、次元を超えたもっと大きい「革命」が起こることを期待したい。

 

 長々と語ってしまったが、冒頭で述べたようにこの記事は2次元と3次元の優劣を決めるために書いたものではない。3次元は永遠ではないことがあたかも欠点のような書き方をしてしまったが、やはり実在する対象を応援できるという楽しさは3次元でしか味わえないものがある。何が言いたいかというとどっちも最高ですよという話である。みなさんどんどん兼ヲタしましょう。

なんと4500字越えの大ボリュームになってしまった。最後まで読んでくださった貴方に最大限の感謝を。次回の記事でもお会いできたら幸いである。